1970~80年代、圧倒的歌唱力で「みずいろの雨」「パープルタウン」などのヒット曲を連発したシンガー・ソングライター、八神純子(66)。多忙だった20代から長い米国生活を経て帰国後は、東日本大震災復興支援でも歌い続けた。パワーアップした歌声を携え、今月6日には神奈川・箱根の彫刻の森美術館でFNSチャリティーキャンペーン「Pass the Smileコンサート」を開催。チャリティーや歌への思いなどを熱く語った。(ペン・山下伸基、カメラ・酒巻俊介)
中学時代に深夜ラジオから幾度も流れた力強くも透明感あふれる歌声が四十数年たった今も記者の耳から離れない。「みずいろの雨」だった。
「他人が書いた2枚目のシングルが売れなかったの。このままだと故郷の名古屋に帰らないといけない。作曲だけで生きていくことも考えないとと思い、楽曲提供するなら岩崎宏美さんかなと作ったのが、この曲です」
1978年10月19日、八神はTBS系「ザ・ベストテン」の人気コーナー「今週のスポットライト」に出演。ピアノを弾きながらパワフルボイスを響かせる姿が視聴者に強烈な印象を与え、その日を境にラジオ局にリクエストが殺到。一夜にしてスターとなった。「こんな風にヒットしていくんだと人ごとのようでした」と懐かしむ。
その後も「想い出のスクリーン」「ポーラー・スター」とヒットを続け、54日間の米国留学を経て「パープルタウン~You Oughta Know By Now~」が大ヒット。一線を走り続けたが、86年に英国人音楽プロデューサーと結婚し、米国へ移住。音楽の活動拠点はロサンゼルスになった。
「アメリカではバックコーラスの手伝いなどもやりましたが、〝目からうろこ〟がいっぱいあった。自分の声で嫌だなと思っていたキンキンしたところを克服することができたんです」
「セプテンバー」などのヒットで知られる米人気バンド、アース・ウィンド・アンド・ファイアのリーダー、モーリス・ホワイトとの出会いで英語の発音ならではの発声法を習得し、パワフルボイスに磨きをかけた。