ぷっくりした唇とくるくる変わる表情が魅力の倉沢杏菜。穏やかな声も印象的で「声のお仕事にもチャレンジしてみたいな」=東京・千代田区(撮影・高橋朋彦)
ギャラリーページで見る昨年女優デビューしたばかりの新人、倉沢杏菜(19)がNHK夜ドラ「VRおじさんの初恋」(月~木曜後10・45)で繊細な演技を披露し、話題を呼んでいる。
同作は主演の野間口徹(50)扮するさえない中年サラリーマン・直樹がバーチャルの世界で美少女に恋をする姿を描く物語で、主人公のアバターとなる制服姿の少女・ナオキを好演中。
オーディションで大役を射止めた倉沢は、野間口との読み合わせで直樹の息遣いを学んだほか「街に出たら片っ端からおじさんを観察しました」と役作りに励み、現役女子大生ながら哀愁漂う〝おじさん感〟を表現。そのナチュラルな芝居が注目を集め、放送後にはネットメディアのタレントアクセスランキングで1位となり、「衝撃です」とはにかむ。
人気漫画の実写化とあって「撮影が始まる前は私で大丈夫かなという心配があったのですが、皆さんが温かく受け入れてくださって一安心してます」と安堵の表情を浮かべた。
演技に興味を抱いたのは幼稚園のとき。きっかけは母親が見せてくれた米映画「ハイスクール・ミュージカル」だったといい、「幼いながらにその作品の虜になって、妹と車の中でサウンドトラックをかけながら熱唱したり。表現することを無意識的に素敵だなと思っていました」とにっこり。5歳から8年間クラシックバレエを習うなど体を使った表現が好きで、高校時代にインスタグラムで見つけた「レプロ30周年主役オーディション」を受け、女優の切符を手に入れた。
周囲を照らす明るいオーラと「自分と向き合う力」が持ち味で、日本テレビ系「ZIP!」内のドラマ「パパとなっちゃんのお弁当」でデビュー。その後も少しずつ出演作を重ねており、「毎回新しい自分に会えるのが魅力です」と女優業を楽しんでいる。
「朝ドラやコメディー、舞台にも挑戦したいです!」と声を弾ませ、「私が関わった作品が、誰かの活力や幸せのきっかけになれたら」。伸びしろたっぷりの新星が、リアルな演技で輝きを放つ。(宮越大輔)